流星群と星空の思い出

流星群と星空の思い出

 

 

流星群と星空の思い出

文責 westgod

私の趣味は天体観測です。その中でも、星を見て星座を見つけたり流星群を追いかけたり、という類の観測が好きで、月や宇宙ステーションなどは気が向いたら追いかける程度です。幸運にも車を寮生から譲ってもらったこと、そして吉田寮に駐車場があることで、いつでも天体観測に行くことができます。

そもそも私が天体観測に興味を持つようになったきっかけは、高校三年生の時にふたご座流星群を観測したことです。なんとなく宇宙とか、ビックバンとか、強くて大きくてロマンにあふれた言葉が好きだった私は宇宙ももちろん好きで、高校の仲良しの先生と毎日宇宙や生き物の話をしていました。そんな折、地学部の先生からふたご座流星群の観測に誘われ、その先生ともう一人友達を誘って参加しました。受験期の12月14日、本当に寒い日でした。

 学校に泊まって今日だけ解放されている屋上で天体観測、もう何日も前からワクワクしていました。当日、胸を躍らせて階段を上がり、屋上から見た星空を私は忘れられません。そのあとブルーシートと寝袋の上に寝転んでみた星空、時には数えきれないほど降る流星、あの寒さや友達と交わしたくだらない会話も、受験期の大切な思い出です。

 

大学に入り、特に二回生になってから天体観測にいそしむ日々が始まりました。車をもらい、何時間もかけて山奥や海岸に出かけては、星を見てただ帰ってきたものです。そんな中でも、やはりふたご座流星群は私の一年の中でも最も大切な日として輝いています。

 二回生の時は前日、当日、後日と観測に出かけましたが、前日の話をします。その日は学科の友人を誘って流星群を見に行きました。行く途中で助手席の友人がガバガバお酒を飲みだして、車ではしゃいでいました。本当に楽しそうでよかった、と思いながら観測地に着くと、見事な晴れた夜空の下、あの日よりもたくさんの流星が降っていたのも、忘れられません。その友人は早々に寝てしまいましたが、残った三人でガスコンロに火をつけ、ぬるいまますすったカップラーメンはしょうゆ味でした。寒さに震えながら外で食べるカップラーメンほどおいしいものも少ないです。

 三回生の時は前日当日と天体観測へ出かけました。当日は少し曇り模様で、早めに出てきた春の星座をたどったりしていました。帰りの車でみんな寝てしまって、一人で好きな曲をかけながら高速を走ったのが、何よりの思い出です。前日は素晴らしい晴れ空でした。この日付いてきてくれたのはあまり星空を見たことのない人でしたが、絶景にいたく感動してくれたみたいで、隣の私も一層感動したものです。次の日にものすごい眠気の中名古屋まで行って味わった水煙草のおいしさも、思い出に箔を付けてくれました。

 

もう一つ、忘れられない星空の話をさせてください。2020年の秋に訪れた、知床の星空です。秋の知床は鮭の遡上の時期で、どの川にも大量の鮭が上を目指して泳いでいて、また大量の鮭が力尽きています。海鳥たちはおなかいっぱいなのか、打ちあがっている鮭に目もくれずに遊んでいました。海岸で干からびている昆布を人かじりして、こんなにおいしい昆布は食べたことがないと、心を躍らせました。そんな知床の夜、霧の深い知床峠に慎重に車を走らせました。クマが出るんじゃないか、シカがでるんじゃないかと心配して峠に出ると、一面の霧で何も見えませんでした。30分ほど粘ってみたものの、霧は一向に晴れず、本当に肩を落として峠を下りました。10分ほど車を走らせたところで、なんと幸運なことでしょう、そこだけ霧の晴れた、電灯の明かりの一つも感じられない、車が二台ほどしか入らない小さな空き地を見つけました。大はしゃぎでそこに車を止め、ドアを閉めたところで見えたのは、私の人生初めての天の川でした。眩しいくらいの星に、まさに包まれているような感覚でした。あまりの星の多さに、真上にいた夏の大三角を見つけることは、ついにありませんでした。

 私を天体観測に導いてくれたのは、間違いなくあの2017年のふたご座流星群です。私はふたご座で、そんなこともあって縁を感じずにはいられない流星群です。星空を好きになって、いろんな人とドライブをして、星空に感動し、ドロドロの眠気の中で温泉に入ったり、みんなを起こさないように音量を下げて音楽をかけて、どれも大切な思い出です。そこでした大切な話も、くだらない話も、全部その日の星空と一緒に記憶に残っています。

 

今年もいっぱい星を見に出かけます。一緒に行ってくれる友達も多くて、日々みんなに感謝しています。これを読んでくれている人も、一緒に星を見に行ってくれるととても嬉しいです。