離縁していた実父が死んで相続の処理をした話

離縁していた実父が死んで相続の処理をした話

 

離縁していた実父が死んで相続の処理をした話

徳島から寮生と交流を続ける寮外生

昨年2021年夏前に離婚して離縁した父が亡くなった。そこで相続の処理を考えることになった。そのことについて記したいと思う。ラノベタイトル風に要約すると以下のとおりである。(が、書き終わってみると見せかけ設定だけで力尽きたタイトルだった)。

生活保護受給者の私  離縁した父親が死んで相続をするんだけど家と土地と山があってどうしよう

~町役場と法務局を回って土地の名義を調べて目指せ田舎のセカンドライフ?~ さらに祖母も亡くなった件

 人の死はヒトゴトではなく、常に自分に襲い掛かってくる、関係のある事象である。死、それに付随する相続の話は意識的に探さなければ、体験談など聞くことはないし、実際やったとしても煩雑すぎて話すほどに記憶はまとまらなかったりもする。また、死の話そのものを避けたい、人の死について聞いた側としては何か弔いや労いや諸々のテンプレートでいいから何か言わないといけない。そういったプレッシャーもあって、実際日常的に相続の話を聞くことは少ないのではないだろうか。でも、相続の話は聞いたほうがいい。今のうちに免疫をつけたほうがいい。だれかのためにも記してみる。

 まずは私の家族関係を提示する。これは図示することができれば手っ取り早いのだが、それによってわりと個人的な情報が見やすくなってしまうのがちょっとアレなので、文章で完結することにする。論理の問題を解くと思って楽しんでほしい。過去、私(斬)には実の母親(母)と実の父親(父A)がいて、自分の下にきょうだいが1人(C)いた。母親と父親は離婚し、私ときょうだいは母親が親権者となった。そののち、母親は新しい夫(父B)を迎えて婚姻した。別れた実父(父A)は家に出入りしていた人間(K)がいた様子だったが、婚姻をした形跡がなく、独身のまま亡くなった。なお、私は生活保護受給者であり、遺産相続の場合、プラスの遺産のほうが多ければ、基本的に相続することになる。が、ワーカー曰くはお任せします、とのことで、自治体により異なるらしい。

ここで問題。この私の実父(父A)が亡くなった場合、遺産相続はどのようになるだろうか?

まず、配偶者と血縁のある子には相続権がある。認知されていれば婚外で生まれた子にも相続権はある。離婚していて親権者でなくとも、実子には相続権がある。そうすると、私(斬)ときょうだい(C)の2人は相続権を有していることがわかる。出入りの痕跡があった人物(K)との子の有無の問題があるが、その人物が出てこないので、無しとした。そうすると、遺産相続としては私1/2、私のきょうだい1/2である。では、私の母親は何かしらの権利を持つのだろうか?配偶者でなくなっているため、相続の話の上では何も関係がない。しかし、今回は土地と家があり、それらを売却した金額を遺産分割する場合、その名義を確認する必要がある。家は母親(母)と実父(父A)が婚姻した時点に両者の共有名義にしており、名義はそのままであった。そのため、母1/2、父1/2となる。が、その父が亡くなり、相続として私1/4、私のきょうだい1/4となる。土地は父親名義であるため、私1/2、私のきょうだい1/2となる。厳密には売却価格をそれぞれで割って分割するわけだが、すでに面倒なので、実際には母と私と私のきょうだい3人で1/3ずつということで納得した。葬式、法事は父方の叔母(叔母)がおこなってくれた。また、書類はほとんど自らの手で集めたが、最後の仕上げは司法書士に頼んだ。相続の種々の面で答え合わせをしながら、遺産分割協議書を作成してもらい、書面にサインをして終了した。ちなみに山もあったが、調べに調べたところ、名義が祖父(祖父)のままだったので放置。ここまで大丈夫だろうか。実は前ふりである。ここからややこしくなる。

それからさらに父方の叔母が亡くなった。そして今年2022年に入って、父方の祖母が亡くなった。祖母の場合を考えてみよう。私の実父(父A)は3人きょうだいであった。一番上は、行方不明で失踪届を出しているのか不明だが7年以上も前からとっくの昔にいない、行方不明の兄貴(叔父)。叔母は亡くなっている。末っ子の父(父A)は先に亡くなっている。祖父はすでに昔に亡くなっている。叔母には夫(叔母夫)がおり、血縁のある子が2人(X)(Y)いる(私からすると、いとこ)。

さて、祖母の相続人は誰になるのだろうか。まず一番上(叔父)が行方不明だが、きちんと手続きをして失踪宣告すれば、死亡扱いになる。死亡扱いとなれば、相続人とはならない。したがって、祖母からすると子に相続がいくはずが、3人(叔父、叔母、父A)とも亡くなっているので、代襲相続となり、孫4人(斬、C、X、Y)が相続人になる(私と私のきょうだい、いとこ2人)。(本当は行方不明の一番上の子どもの有無を確かめる必要がある)。が、そう単純ではない。

叔母夫から、子(Y)の夫(Y夫)が相続関係に詳しいと聞き、とりあえず話を聞くことに。しかし、聞くところ、司法書士など専門家に頼んだりして金を使うのを嫌がっている。自分たちでなんとかしたいらしい(自力でやるには煩雑さからして、覚悟を決めなければ無理である)。叔母夫は、行方不明の兄貴(叔父)が出てきたらどうしよう、といったことから、面倒くさがって、子2人(X、Y)には相続放棄をさせると決めた。私としては親しかった祖母については何かしら対応したいと思い、私が相続しようかと言ってみたら、法事の金を払えと言ってきた。相続するなら土地ちょっと貸してほしいなどとも。―そして、この間に色々と若干もめる―。その後、私と私のきょうだい(C)も相続放棄をすることとした。そもそも叔母夫は相続放棄から国庫帰属(土地を国にあげるみたいな制度がある)を考えていたらしい。が、孫4人(斬、C、X、Y)が相続放棄をしたらそれで終わりか?いや、まったく違う。その次に相続人となるのは、祖母のきょうだいである。きょうだいが亡くなっていればその子へ代襲相続となる。どこの誰だかわっからーんとなるので、ここまでくると司法書士など専門家を頼るしかない。が、田舎の貧乏なおっさんはそういうところに金を使いたがらないので、なあなあになる。知っている範囲の自分たちだけ助かれば良い、自分たちは無関係でありたい、などなど。田舎のおっさんは無関係でありたいながらも、使えるものは使いたい。国庫帰属よりよりおいしい話なら乗りたいということだ。無理だ。母からも、もう関わるのをやめとこうよ、と。私は、孫の中では祖母に一番近くにいたと自負しているが、亡くなった祖母に申し訳なく思いながら、逃げることにした。むしろ最初から叔母親族と一定の距離感を保てば良かったかもしれない。なあなあにはなあなあで返す。祖母にはもう何もできないけど忘れない。形見は小学生の時にもらった鍵編み棒だ。さて、きちんと処理するならば、

目的: 相続人全員が相続放棄をし、土地を国庫帰属させる

●行方不明の兄貴(叔父)の失踪宣告をする(このぐらいはハードルは低い)

●戸籍を取り寄せ調べに調べて祖母のきょうだいとその子どもを特定し、連絡をとり、相続の話をする。相続放棄してほしい旨だけなら話は早いはずである(が、探す、話すがガチでハードルが高い)

●国へ土地を帰属する(とはいえ、それまでの管理は近い者が引き続きおこなう必要があるし、費用はかかり、めんどい)

結論:専門家に頼め

極めつけとして。ほいじゃあ、離婚して再婚した母の今の夫(父B)が亡くなった場合はどうなるか?連れ子には相続権はない。相続するなら養子縁組が必要である。しかしこれは父Bが先に亡くなった場合。母親が先に死に、その後、父Bが亡くなった場合、先に母親の相続は父B1/2、子1/2(私と私のきょうだいで1/4と1/4)となる。その後夫が亡くなると、代襲相続によって、相続権は配偶者分が子に移る。つまり、血縁関係のない義父(父B)でも、亡くなった母親の配偶者なら自分へ相続ができるわけだ。

私はそれぞれの関係者と対話でなんとかやっていけないかと、直接話を聞いたりなどしてやりとりしていたが、金の面倒ごとがかかわってきて、相手の保身や利益を優先する思考に触れ、無理なものは無理である、と思った。口約束はできない。書面で残しても無効だとか言って認めない場合もある。人間は信用できないなと思う。でも、離縁してた子どもがしゃしゃり出てきたから気分悪かったんだろうな、とも思う。人の世の中面倒くさいよね。おっさん、こらえて。

実際にやってみると、徹底的に原理主義でなくとも、誰かしらから文句がなさそうなら適当でいけるところがある。調査、確認しようとするとそれだけ費用はかかる。父親(父A)の場合は、各自治体から取り寄せる戸籍謄本は少なく済んだ。が、祖母の場合は、きちんと処理をするなら、戸籍謄本を辿りながら必要な人数分かかってくる、らしい。

ここまでくると、もはや親と子は他人で良いのではないか?相続という制度も無ければよいのでは?とも思う。しかし、死人に口なし。遺書さえあれば良いかもしれない。が、あってもなくても残された諸々のものの対応は誰がするのかとなってしまう。個人と個人の関係をどう考えるべきか。親族か親子関係か配偶者か?名づけられた関係性によって生じる諸々のこと。名づけられない関係性によって生じえない諸々のこと。見知らぬ他人と財産についてのやりとりが発生すること。調べれば居所がわかってしまうこと。戸籍制度の問題でもある。さらには、個人と個人の関係性の証明以前に、管理主義的な現行の社会では、国や自治体への何かしらの個人の存在証明が必須である。「身分証明」が当たり前になってしまった今の世界では、何かを貸借、売買する時、あるいはそれらを継続的にやりとりし、おこなうことを取り決める、などなどの時に、信用ができることとして、どこの誰なのかわかるような証拠を提示することになる。これは、国の管理システムと資本主義が利用しあっているとも言える。

日本の法自体が血縁を重視しており、健康だった年長者が死に、それが婚姻をしている健康な若い世代へ相続する、という前提にある。それ以外はイレギュラーであり、「大変」なのである。働きながらも金が無く、病院を嫌がり、50代で亡くなった父、行方不明で失踪した叔父、呼吸器を患い常に酸素をつけていて亡くなった叔母、心臓病で眼も見えなくなった祖母、生活保護を受けておりかつ恋愛対象と法的な婚姻が認められない自分(婚姻制度自体の問題はある)。こんなのはまだ序の口だろう。事実婚では?海外にルーツがある場合は?障がい者の場合は?親族から被害を受けている場合は?いくらでもある。おかしな社会だ。

最後に:自分が死んだら動かす(死亡診断書の原版必須)のと焼く(金がかかる)のだけ誰か頑張ってもらって、あとは砕いて(パウダー状になるまでが必要)適当に海へ散骨してほしい(すでにずいぶんな労力)。出なければ無縁仏で。などと。

※全編にわたって素人調べでやってきたことなので、自分で考える場合は自分で調べるか専門家へ相談を。